会誌-「サークル水月会誌 第3回」
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■ リアクション3−6 (独立暦400年空の月) レポート名「水と生命」 タイトルは最初から決まっていた。兄弟子ツィルートがあの少女の目にかけた水、そしてあの水があの子の目の濁りを洗い流したのだ。あれは一体どういう術法だったのか、その後、先生もツィルートも他の先輩達も、何も教えてはくれなかった。それは、自分で学びとっていかねばならぬことなのだ。 澄んだ水、澄んだ空、澄んだ少女の瞳。ヴィルザートの脳裏にはそれがずっと焼き付いて、 書庫には沢山の本があるが、それ以上に大きな空きスペースがある。ティターニア・メルリーラ姉妹が人界に降って150年ばかり、それだけかかっても埋まるにはまだまだ足りない。 だが、ヴィルザート程度の知りたいことなら研究され尽くしているといっていい。書庫の大半を占める医学書は、病・薬関係と器具関係に大別され、さらに関連の強い七要素別に並べてあるから、水の室を探せばすぐに見つけることが出来るとわかったのは、通い初めてから二週間後のことであった。 物質としての水というのは、水の要素を物質のかたちに結晶化させたものである。比率としても水を大変多く含んでいる。液体は一般に水といわれるが、正しく水と呼べるのは、水の要素が限りなく100%に近いものである。 水には4種類がある。アンディーナの住んでいる水、ナーイアドの住んでいる水、アプサラスの住んでいる水、エルフーラの住んでいる水、という分類が一般にはなされるが、それぞれ、どう異なっているのだろうか。 実際には、これらの精霊が直接住んでいるわけではない。これらの精霊の力は水の形をしていれば多少の差はあれどれも含んでいるものである。そのうちでも、どの力が最も多いかによって分類する。 アンディーナの住んでいる水というのは、我々が飲んで一番おいしいと感じる水であろう。淡水としてのもっとも標準的なものである。他の水の力の影響を受けて変化しやすい。 ナーイアドの住んでいる水というのは、概して海水であり、波の周期を呼び起こし、または生物の固有の波、つまり生命力を活性化させる力をもつ。微量の火の要素をふくむ。ちなみにセルファニア湖の水は淡水であるがこの種類に分類される。 アプサラスの住んでいる水というのは必ず淡水であり、エルフーラの住んでいる水と反応し、その力を打ち消しあう。ものを清める働きをもつ。微量の空の要素と光の構成をもつ。この類の水が地下空洞などに閉じこめられ、地の力を強く受けると水晶に変ずる。 エルフーラの住んでいる水というのは、我々が飲んだりすると腹をこわすような水である。ものを汚し、腐らせる働きをもつ。生命力を減退させ、あるいは生命力を異常に活性化させるなど、生物の固有の波を狂わせる。微量の地の要素と闇の構成をもつ。流水には一般にはふくまれないが、それを汲みおいたりすると大気中からエルフーラが入り込んでこの類の水に変化する。ただしアプサラスの住んでいる水であれば例外である。 これを踏まえ、水と生命について論じる。水……波……生命の周期。そういう関係ととらえてよいのだろうか。 ここはカノール、マンジュスーリー広場。今日も家族づれ、カップルの多い午後燦々。かれら目当てに屋台がならび、にぎやかな、いろんな声が聴こえてくるなかで耳にはいってきた…… 「まんじゅう〜、いかがぁ→スかぁ〜?」 「カノール名物、ヌーグ様まんじゅうだよーっ! これを食べれば、ひとくちで頭がよくなり、ふたくちで美容に抜群、 全部食べれば、あらふしぎもう一コほしくなるのが こまっちゃうよ〜!?」 本業そっちのけで新製品、マンジュスーリー広場でまんじゅう(ゴメン。くどいねー)を売っているのは、何を隠そうダナスくん。 ……ものは試しだ、買ってちょうだい、3コで1ラダ、サービス中! おもち帰りもございますねの、1ダースで3ラダ お買い得っ! [以上、キャラシートより抜粋] 「……何をしているのだ、ダナス……」 頭をかかえるヴィレールト。 「星薬会会員ともあろう者が、まんじゅう売りにうつつを抜かすとは……」 気を取り直し、書簡の山に目を落とす。 「少しは、この熱心な若者たちを見習えばよいのに……」 |
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